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2021 全仏OP女子シングルス展望(大会終了後追記)

今年の全仏オープンも全選手の初戦が終了したということで、今後の展望をまとめてみたいと思います。

 

今年はシード勢の離脱・敗退が割とみられるので大会としてはやや荒れ気味かと思いますが、そもそも女子の試合はその時点での調子が大きな影響を持っているのでランキングやシードがあまり意味を持たないという側面もあります。

 

そのため全試合を視聴するして今大会の調子を判断するのが理想なのですが、流石に全試合は厳しいのでスコア・スタッツから推測する部分も大いにありますが、見た範囲という留保付きで書かせていただこうと思います、ご容赦ください。

 

まずはトップハーフから。

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こちらでは一昨年の覇者バーティと昨年の覇者シフィオンテクが目を惹きます。

 

まずバーティの山ですが、正直誰が勝ち上がるかが非常に読みにくいです。

まずバーティですが、先週末に左腰付近を痛めたということで初戦でもメディカルタイムアウトを取っています

初戦はなんとか勝利しましたが、この先リネッテ、ジャバー、ガウフorブレイディと続く可能性があり、かなり体力的に厳しい戦いを強いられると予想されます。

QFでもKaプリスコバ、アレクサンドロバ、スビトリーナ、ムホバといったメンバーの勝ち上がりが予想されるため正直誰が勝ってもおかしくないドローになっていると思います。(クレジコワは先週優勝の疲労を考慮してここには入れていません)

 

個人的に注目しているのはKaプリスコバです。

最近結果は出ていないものの、プレーの内容は上向いていると感じています。

メンタル面の不安定さもバジンコーチの効果で改善傾向にあるようにも思います。

あとは厳しいゲームを勝ちきって自信をつける事ができればダークホースになる可能性も十分ある気がします。

ただ、前回の全豪のときもプリスコバ注目であまり振るわなかったのでそこまで期待せずに見守りたいと思います笑

 

アン・リーにも注目しています。

全豪のときからいいプレーをしており、初戦も6-0、6-1で快勝しています。

初戦は相手のミスが早かったこともあり判断は難しいですが、次戦スビトリーナ相手にどのようなプレーをするのか楽しみです。

 

下のケニンの山、ここの中心はシフィオンテクになると思います。

スピン量の多いストロークはRGのコートとの相性もよく、体力面でも不安要素が少ないです。

対抗はサッカリかメルテンスになるでしょうか。

ケニンは初戦を見た限り、底は脱した感じではありますが、まだ安定感に不安が見られます。

ペグラはハードコートシーズンの疲労か少し落ちていると感じました。

 

個人的に注目しているのはムグルサに勝ったコストゥクです。

確かにムグルサは怪我明けということもあり精彩は欠いていたものの、コストゥクも力強い良いプレーをしていました。

勝ち進んでシフィオンテクとの若手対決となれば興味深いカードとなりそうです。

 

トップハーフでは本命はシフィオンテク、それに続いてブレイディ、サッカリ、ガウフ、Kaプリスコバといったところでしょうか。

 

いずれにしてもバーティのコンディションが気になるところです。

今シーズンのクレーコートを見ていてもSF、Fの実力はあるだけに2R以降どのような状態となるのか注視していきたいところです。

 

 

 

続いてボトムハーフ。

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まずは上のサバレンカの山ですが、やはり中心はサバレンカになると思います。

今大会ではミスはあるものの、フィジカル面でいえば頭一つ抜けていると言えるでしょう。

3RのパブリュチェンコをパスできればSFはかなり有力と言って良いかもしれません。

ミスがかさめば危険な相手なのでここがまずは難所になると思います。

 

セリーナは爆発力はあるものの、安定感が今ひとつで、コリンズ、リバキナ辺りとの戦いは厳しいものになると考えられます。

よしんば勝ち抜けたとしても体力的な消耗は避けられないでしょうし、SFは難しいと判断します。

 

続いて下の山ですが、シード勢がかなり消えてしまっていてかなりの荒れ場となっています。

その中でもクレーシーズン好調のバドーサを筆頭に、ボンドロウソバ、カサツキナ、クデルメトバ、シニアコバ、ヘルツォグといった面々が良い調子に見えました。

と、これを書いている間にシニアコバがクデルメトバに勝ちました。

 

中々読めない山ですが、大坂の離脱もありドロー的にはバドーサが一歩有利な立場にいると思います。

バドーサは今季のクレーでは15勝2敗と安定しており、負けたのもチャールストンのクデルメトバとマドリッドのバーティという好調の相手のみ。

クレーでの試合数の多さが少し気になりますが、一週間を間を空けての全仏ということでそこまでの不安要素ではない気がします。

 

グランドスラムの二週間の戦い方という意味では、近年に決勝まで進出しているボンドロウソバにも注目したい所です。

今季は決して好調とは言えないものの、初戦はカネピの強打相手に序盤は押されるも冷静な立ち回りで逆転勝ちを収めています。

 

誰が勝ち上がるかは読みにくいものの、この山を消耗少なく勝ち上がる選手がいた場合、、SF、Fの結果に影響を与える可能性はあります。

 

 

以上をまとめると、以下の3点が注目ポイントと言えそうです。

 

①バーティのコンディション

②サバレンカのミスの減少

③ボトムハーフ下の混戦の行方

 

これにシフィオンテクの調子やコストゥクやリーといった若い選手の躍動も合わせて見ていくと、より全仏を楽しめるのでないかと思います。

 

シード選手の棄権・敗退やら少し混乱していた今大会の序盤ですが、1Rも終えて少し落ち着いてきた様相も見えます。

ここから決勝に向かって多くの熱戦、ドラマが見られることを1観戦者として期待しています。

 

以上、皆様の観戦に一役立てれば幸いです。

 

 

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ここから大会終了後の追記となります。

 

まず、初回作成時に上げたポイントについてコメントしたいと思います。

 

①バーティのコンディション

→これは危惧した通り、2回戦の途中でリタイヤという残念な結果になってしまいました。

結果としてガウフがこの山を勝ち抜ける事になりましたが、万全のバーティとクレジコワの対戦を見てみたかった気もしますね。

(クレジシワの躍進については後述)

 

②サバレンカのミスの減少

→サスノビッチ戦から若干怪しかったサバレンカの調子でしたが、危惧したとおりミスが減らずパブリュチェンコワに敗れる結果となってしまいました。

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41本のウィナーはあったものの、UFE39は厳しかったですね。

 

サバレンカは良くも悪くも大会を通じてあまり調子が変わらない選手でラウンドが進むごとに改善といったことが少ないので、この辺りが今後のGSでの課題となりそうです。

 

③ボトムハーフ下の混戦の行方

→ ボトムハーフ下では最終的にバドーサとジダンセクがQFまで勝ち進みました。

バドーサは言及していた通りでしたが、ジダンセクがここまで勝ち残ったのは完全に意表を突かれました笑

アンドレスクや好調シニアコバをフルセットで下し、その勢いのままにバドーサとのファイナルセット第14ゲームまでもつれた激戦を制してSF進出を決めました。

フットワークと固い守備を基本としたプレーは見ていて楽しいテニスでしたね。

 

バドーサも3Rのボグダン、4Rのボンドロウソバとタフゲームからのジダンセク戦だったため、終盤は少し精神的にも追い込まれている印象でしたが、最後まで素晴らしいファイトだった思います。

今後のクレーコートでも活躍を期待したいですね。

 

○総括

 

さて今回の全仏女子シングルスでは、最終セットにタイブレークが導入されていない全仏ならではの熱戦が数多く見られました。

前述のジダンセク対バドーサに加え、リバキナ対パブリュチェンコワ、サッカリ対クレジコワなど、どれも精神的、肉体的なタフさを試される熱戦で見ているこちらも手に汗握る熱戦でした。

リバキナに関しては前に記事を書いていたこともあり、復調は嬉しかったですね。

tennisandlespen.hatenablog.com

 

この熱戦続きの全仏を制したのが、クレジコワでした。(私がWTAのHPで発音を聞いた限りクレジコワに聞こえたのですが、一般的な表記はクレチコバ又はクレイチコバのようですね、どうするか考え中です笑)

 

今シーズンのクレジコワはハード、クレーを通して安定した強さで、特にストロークの安定感が良いと感じていました。

 

前週のストラスブーグで優勝していたということやダブルスでも勝ち上がりが期待されるということなどから、体力的に勝ち進むのは厳しいのではないかと予想していましいたが、見事に覆されました笑。素晴らしいタフさです。

 

ドロー的には、今シーズンにクレーで破れているバドーサ・シフィオンテクに当たらなかったという幸運もあったように思いますが、サッカリとの熱戦や決勝のファイナルセットなど、緊張する場面でのコーナに決まるストロークは見事の一言。

今大会では少し精神的に不安定になった場面もあったようですが、それを乗り越えての優勝、ノボトナさんとのエピソードもあり大変感動されられる光景でした。

 

news.yahoo.co.jp

 

今大会はトップシードが早くに消えるなど波乱ともいえる展開になりましたが、試合内容が面白い試合がとても多く、シードや世界ランクではなくその時にいいプレーをしている選手が勝ち残るという女子の特徴が強く出た大会だったように思います

 

今回はクレジコワが優勝しましたが、今後も支配的な強さを維持するかというと、可能性は否定できませんが、難しい気もしています。

依然として女子テニス界は群雄割拠が続くと予想しますが、今大会でもガウフ、コストゥクの躍進やリバキナの復調など若い世代の台頭も予感させられました。

 

ここからウィンブルドン、そして開催されるとするとオリンピック、そして全米とビッグタイトルが続きますし、今後の女子テニス界も注視していきたいですね。

 

以上、観戦の手助けとなれば幸いです。