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2021 全豪OP女子シングルス展望(大会終了後追記)

この記事を書いているのは日本時間2/9の夜で、全豪オープンの二日目が終了した時点です。

 

すべての一回戦が終わった時点で、情報の整理がてら今年の展望を考えてみたいと思います。

なお、全ての試合を見れているわけではないのでスタッツのみの判断も多いに含まれます、ご容赦ください。

 

まずは、トップハーフの上の山から。

 

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一回戦、まさかのダブルベーグルで勝利したバーティ。

調子は良さそうですが、ここからのドローが

 

3R krejcikova or アレキサンドロワ

4R ロジャース or コンタベイト

QF メルテンス or Kaプリスコバ or コリンズ

 

となった場合は、なかなか厳しいドローのように思います。

特にバーティは前哨戦で優勝しているので、中盤で一回体力的に落ちる期間があってもおかしくありません。

それが3R、4Rで訪れた場合、上記の選手たちは危険な存在のように思えます。

 

2Rで注目しているのはKaプリスコバ対コリンズです。

前哨戦での同カードではコリンズが勝利しておりますが、ここをプリスコバが勝ち抜けてくるようだとGSへの調整がうまく行っている可能性があり、先へと駒を進める見通しが立つかもしれません。

 

twitterでも少し述べたのですが、これまでプリスコバはGS前哨戦で好調にもかかわらず、その後のGSではうまく結果が残せないという印象がありました。

まだGSを一度も制していないプリスコバは去年末に、大坂とGSを獲ったバジンコーチを雇っていて、今回はその体制で初めてのGSとなります。

バジンコーチがGSにおけるコンディショニングについて策を講じている可能性も高く、今年の前哨戦での早期敗退は戦略的な意味合いがあるかもしれません。

前哨戦で破れているコリンズとの試合は、ピーキングが上手くいっているかを判断する良い試金石になると思います。

 

上記のようにバーティにも少し不安要素があることを考えると、この山の勝ち抜けは非常に予測しにくいです。

バーティ、プリスコバはもちろん、メルテンスやコリンズも好調を維持しており、コンタベイトも1Rで良いサーブスタッツを残しているということも考えると、多くの選手に勝ち抜けの可能性がある山と言えそうです

 

ちなみにベンチッチはまだちょっと不安定かな?という感じですね。もともとミスの多いタイプですがまだまだDFも多く、試合勘が十分でないという印象です。

 

続いてトップハーフの下の山。

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この山の2Rでは、ケニン対カネピ、スビトリーナ対ガウフが注目カードです。

カネピは今年36歳というベテラン選手ですが、去年の末からITFレベルで連勝、今年の前哨戦でもサバレンカ、カサツキナ、アレキサンドロワを下して決勝進出を果たしています。

年齢もあり連戦からの疲労が心配されますが、おそらくは先を見据えず1勝でも多く勝つというスタンスだと思うので、ケニンがスロースタートした場合、一気にカネピが試合を持っていく可能性は十分考えられます。

 

ガウフは早くもシード選手との戦いですが、一回戦のサーブスタッツを見ると、1stサーブポイント獲得率が 76%と高水準を記録した上にDFも3に抑え、前哨戦で苦戦したタイヒマンをストレートで下しています。

WTAの場合、サーブの調子はその日次第のところが大きいので、当日の調子次第となりますが、ガウフが1Rのレベルのサーブを打つことができれば、リターンが強みのスビトリーナの強みを封じて勝利できる可能性も十分にあると思います。

比較的速く弾まないサーフェスという点も運動能力に長け、フラット気味のサーブを打つガウフにとってプラスになるかと思います。

 

tennisandlespen.hatenablog.com

www.thetennisdaily.jp

 

上の山でカネピが勝利した場合はブレイディが勝ち抜ける可能性が高くなりそうです。

Juvanも強いショットの打てる若手ですが、安定感でブレイディに分があると考えています。

ケニンが勝った場合は調子を上げている可能性が高いので、プレイディと競る形になると思います。

 

一方下の山ではガウフ・スビトリーナの勝者がペグラと競るという感じでしょうか。

ペグラもいいプレーをしていましたが、体調不良のアザレンカ相手というのは判断が難しく、ここ最近の戦績から見るにガウフorスビトリーナに分があるような気がします。

 

プティンツェワも良い選手ですが、隔離による影響が強い選手と思われるので、勝ち抜けは難しいと判断しました。

 

あと忘れてはいけない点として、この山には日比野が勝ち残っています。

ムラデノビッチはサッカリを下していますが安定感についてはまだ信用できない面があるので、荒れた試合になれば日比野にもチャンスはあると思います!

 

次にボトムハーフ、まずは上の山から。

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この山については正直大坂の力が抜けていると思います。

対抗はムグルサ、クビトバとなりますが、大坂が崩れない限りは少し厳しいと言わざるを得ません。

それくらい1Rの大坂のプレーは良かったです。

多彩なショットはないですが、フィジカルを生かしたサーブストロークは単純ながら攻略しにくいです。

調整がしやすかったアデレード組であること、前哨戦を適度に切り上げていることなど不安要素も少なく、突発的な乱調がない限りはSFまで勝ち残ると思います。

 

 

2Rではスーウェイ対アンドレスクが一番興味を惹かれるカードですね。

初戦で好調のピロンコバを破った稀代のテクニシャンスーウェイに対し、怪我からの復帰空けで勝利したアンドレスクがどのように対応するのか、注目です。

 

最後にボトムハーフの下の山。

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個人的にこの山が一番の激戦区と感じています。

サバレンカ、セリーナ、ハレプはSFレベルの実力がある選手ですし、それに加え去年の成長株であるシフィオンテクとリバキナ、昨年末から今年にかけて頭角を表してきたポタポワ、リー、フェロ、クデルメトワなどタレントが揃っています。

そのなかでもリードしていくのはサバレンカとセリーナだと思います。

 

ただこの二人にはそれぞれ懸念事項があります。

サバレンカは隔離期間による調整不足、セリーナは年齢からくる体力面です。

サバレンカが試合を勝ち進みながら調子を戻していった場合は優勝も視界に入って来るレベルだと思います。それくらい昨年末から年始にかけてのサバレンカは強かったです。

 

セリーナは1Rで非常にいい動きをしていましたが、加齢による体力面の不安はどうしても避けられません。

長い試合が続いてしまうとQF、SF辺りの相手でも苦しくなってくると思います。

逆に体力をそれほど消費せず勝ち上がれた場合には、いいところまで勝ち進むように思います。

ただ、ボトムハーフはSFで大坂が勝ち進んでくる可能性を考えると、サバレンカが調子を戻す方が優勝の可能性は高いかなと思います。

 

調子が良いサバレンカと大坂の試合はテニスファンとしてもかなり見たいカードですね!

期待しましょう!

 

 

 

以上、大雑把に展望を予想してみました。

こうしてみると大坂が優勝するような気がしてきました笑

大会が終わった時に振り返って全然外れてるじゃないか!となりそうですが、予想を裏切る展開というのもスポーツの醍醐味だと思うので、観戦の一つの楽しみ方と考えていただけると幸いです。

 

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以下大会終了後(2/21)の追記です。

上にも述べたように大坂優勝の予感していましたが、現実になりましたね。

簡単に展望を振り返ってみます。

 

まず、トップハーフの上の山。

バーティに不安要素があると書きましたが、QFでの敗退となってしまい、悪い予感が当たる形になってしまいました。

一方、多くの選手に勝つ抜けの可能性があるとしましたが、名前を挙げていなかったムホバの快進撃には驚かされました。

Kaプリスコバ、メルテンス、バーティを次々と破ったのは見事の一言。

ムホバはサーブ力もあり、ショットも多彩な選手ですが、ミスも多めの選手なのでGSでSFまで抜けてくるのは意外でした。

今後もこのレベルが継続できればランクを上げてくると思います。

 

次にトップハーフ下の山。

ここはケニンがカネピに破れたため、ブレイディが有利という予想通りの流れになりました。

その中でもペグラがスビトリーナを破るなどのアップセットを起こし、ブレイディからも1stセットをとるなど躍進を見せました。

フラット気味のストロークサーフェスに合っていたと思います。安定して上位にくるかはわかりませんが、シードダウンを起こすポテンシャルは証明できたと言って良いでしょう。

 

ボトムハーフは注目していた大坂、セリーナ、サバレンカがQFまで勝ち進んできました。

ここでセリーナがサバレンカを破ったことで大坂が有利になったというのも事前展望のとおりだったように思います。

セリーナはハレプ戦からサーブの速度が落ちており、本人のインタビューから意図したものでないという事情が語られるなど、やはり加齢による体力への影響があったと考えられるでしょう。

その状態で万全の大坂の相手は少し荷が重かったと思います。

 

ブレイディは今回コロナウイルスプロトコルにより2週間の完全隔離を受けた選手の一人であり、試合を見ていてもいつもよりミスが多く、やはり調整不足は否めないといった印象でした。

ムホバは確かに好調でしたが、ブレイディのストロークが去年の全米レベルであったならここまで苦戦することなく決勝へとコマを進めていたように思います。

 

本調子でないブレイディと今大会の大坂となれば、大坂に分があるのは明らかでした。

 

大会通じてみても大坂のパフォーマンスは頭一つ抜けていて、この調子が維持されるなら少なくともハードコートでは中々負ける姿が想像し難い、そんなレベルに来ていると感じます。

今大会の大坂に強さに関しては時間があれば別記事で検証したいと思います。

 

今後、大坂が大きな支配力を示すことは間違いなさそうですが、それに対抗する選手たちもこの大会で多く見られました。

長らく頂点不在と言われていた女子シングルスですが、今回の大坂の優勝で明確に大坂を中心に包囲網が敷かれるという図式になってくると思います。

筆頭はサバレンカかなと思っていますが、バーティやシフィオンテクなどが組み立てで崩していくという場面も期待したいところ。

今後、それぞれの選手たちがどのようなアプローチで大坂攻略を狙うかという視点で見ていくと面白いかもしれませんね。

 

以上、長くなりましたが今後のテニス観戦の一役に立てれば幸いです。