散布図で見る選手別特徴(2020WTA編)
残念ながらコロナウイルスの世界的な流行によって、当面、テニスを見ることが難しい状況となってしまいました。
ただテニスが見れないこの機会、せっかくなのでなにかやろうということで、今回はざっくりですが、選手の特徴をグラフ(散布図)にして視覚的にわかりやすくしてみようと思います。
日本ではまだまだ知名度が低いWTAですが、少しでも選手のタイプが分かれば観戦しやすくなるのではないかと思います。
また、日本では大坂選手の試合を見る機会が多いと思いますが、対戦相手の傾向を把握していれば戦略的な見方など、一味違った楽しみ方ができるとも思います。
というわけで、今回対象とするのは現時点での世界ランクでトップ64までの選手。
なぜ64かというと、このランクまでの選手を把握していれば、大体どの大会でも楽しめるということと、これ以上選手数を増やすと図が非常に見にくくなるためです^^
使うデータは今回は大まかな特徴ということで、
横軸:サービスゲーム獲得率
縦軸:リターンゲーム獲得率
で作成しました。
対象となる期間は2019年~2020年3/13日まで、データはWTA公式サイトからです。
今年のデータだけだと母数が少なすぎるため、去年のデータも合算することにしています。
また、去年と今年のデータを合算するに当たり、年月及び期間による重み付けをして調整しています。
具体的には以下の通りです。
○去年のデータはについては、時間経過を加味し0.75倍する。
0.75という数値は他種目でのセイバーメトリクスなどで過去の成績を考慮する場合の係数を参考にしました。
○今年のデータは母数が少ないことに鑑み0.25倍する。
0.25は期間的にツアーの1/4くらいの期間が経過していることを理由としています。
なお、アンドレスクは怪我のため、今季まだ試合未出場のため、去年のデータをそのまま使用しています。
以上により作成したものが以下の散布図になります。
赤線はそれぞれの中央値となっています。
Service Game Won : 69.025(AlexandrovaとVan Uytvanckの間)
Retuen Game Won : 34.9375(BencicとBouzkovaの間)
となっています。
これを大まかに分類すると、
①:サービスゲーム、リターンゲームともにトップ平均以上の能力がある。
②:リターンゲームに強みがあるが、サービスゲームが不安定である。
③:サービスゲームは安定しているが、リターンゲームに弱さがある。
④:サービスゲーム、リターンゲームともにトップ平均以下の能力である。
となります。
①に分布されているということはサービスゲーム、リターンゲームともに高い割合で獲得して言ということなので、当然試合にも勝ちやすくなります。
ということで、トップ10に名を連ねている選手が順当に分布されています。
その中でもセリーナが圧倒的です。
年齢的な問題から出場試合を絞ってはいますが、出場した試合では未だに支配的なパフォーマンスができていると言って良いでしょう。
②、③には強みはあるものの、あと一歩トップ10に届かないという選手が散見されます。
リターンに強みを持つボンドロウソバやアニシモバ、サービスに強みを持つコンタ、ゲルゲスなどは、反対のゲームでのパフォーマンスに課題がある選手の代表だと思います。
④に分布される選手の中にも、今年の成績だけをみると上位に食い込んできそうな選手が多くいます。
例えば、ジャバーは最近、非常に高いパフォーマンスを続けていて、今季の成績だけなら①よりの③に分布されている選手です。
このような選手は今後一気にランクを上げてくる可能性があるので注目です。
また、ガウフも④ですが、そもそも15才でトップ選手と比較されている事自体がかなり異常ですし、サーブの速度や足の速さを考えても、将来的にかなりの確率で①に分布される選手になるでしょう。
テニスは画面上の動きが少ないスポーツなので、慣れていないと退屈に写ってしまいがちですが、
「この試合はサーブが強い同士の戦いだから一つのブレークでも大きいな」
「サーブが得意な選手相手にリターンが選手どう攻めるのかな」
などど考えながら見ていくと、一つ一つのプレーもより楽しんで観戦できるのではないでしょうか。
上の散布図が、そのような見方のきっかけになれれば幸いです。