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2020注目選手その1 マルケタ・ボンドロウソバ(Marketa Vondrousova)

世間的には次の女子の注目選手といったらガウフ何でしょうが、あえてそれを避けて、個人的な注目選手を考えてみます。

 

ガウフが15才にしてツアーで勝てる選手になっているのは驚異的ですし、運動能力という点でみれば女子ツアーの中でも抜けてくる可能性は大いにあると思います。

 

ただ、本来若手と呼ばれ、次世代のトップ選手になるであろう十代後半〜二十代前半の選手たち。その中にも非常に面白い能力を持った選手が多く存在します。

そこで、虎視眈々と世代交代を狙っている彼女たちの中から、注目している選手を何人か紹介したいと思います。

 

今回は昨年の全仏の準優勝者であるチェコの20才、マルタケ・ボンドロウソバです。

ヨーロッパの方は表記が難しい。

まずは、彼女のストロングポイントであるリターンのスタッツを紹介します。 

              2019      2020

1st Return Points Won     43.4%→48.6  

2nd Return Points Won    56.2%→59.8%

Break Points Converted        48.9%→53.8%

Return games Won                  45.6%→56.8%

 

まずこの中で圧倒的なのが1stサーブのリターンポイント獲得率。

43.2%というのはリターン巧者のハレプの41.6%を上回る驚異的な数値です。

もちろん2ndサーブリターンの56.2%も高い方ではありますが、セカンドを攻撃するのは女子のセオリーなので、サーブに弱点がありリターン主体で勝ち上がっているタイプの選手にはこのくらいの数値はよく見られるものです。

ただ、1stリターンが40%を超える選手は去年の世界ランクトップ50の中でもハレプとボンドロウソバの二人しかいません

 

そして、リターンゲーム獲得率45.6はトップ100の中でNO1です。

 

これらの数値から考えると、

ボンドロウソバは去年最もリターンゲームで相手を苦しめた選手と言えるでしょう。

 

また、今年に入ってからもラディオノヴァ相手に無慈悲にダブルベーグルを焼くなどリターンの数値を軒並み伸ばしており、その安定したリターン力を披露しています。

 

先の記事でも触れているように、私は現在の女子ツアーの1stsetのトレンドをリターン力と考えており、そうするとこのボンドロウソバは1stsetにおいては最も現在のトレンドに沿った選手であるといえます。

 

そんなボンドロウソバ、これだけのリターンスタッツを残しながらトップ10に届かなかった原因はサーブスタッツにあると言えるでしょう。

          2019      2020

1st Serve Won     63.9%→55.9%  

2nd Serve Won    47.7%→43.2%

Break Points Saved  51.9%→44.4%

Service games Won    67.2%→58.3%

 

この中で気になるのは1stサーブポイント獲得率とサービスゲーム獲得率。

1stサーブポイント獲得率63.9%はトップ10最下位のハレプの63.4%とほぼ同等。

サービスゲーム獲得率67.2%は同じくトップ`10最下位のハレプ69.2%を下回ってしまっています。

ハレプには身長が168cmというハンデがあるため、どうしてもサービスで優位に立ち難いという事情があります。

それに対し、ボンドロウソバは身長も175cmと決して低すぎるというわけではないのにも関わらず、トップ10最低クラスのハレプと同等ないしそれ以下のサーブスタッツしか残せていません。

 

これを欠点ととるか、伸びしろと取るかがボンドロウソバの評価の分かれ目となるでしょう。

 

ポジティブな要素としては、①身長が低いというわけではないこと、②サウスポーであることが挙げられます。

 

ネガティブな要素としては、①昨年に左手首の怪我で離脱していること、②今年になってからもサーブスタッツが悪化していることが挙げられます。

 

ただ、私はボンドロウソバの今後について非常にポジティブに捉えています。

それはクリアすべきサーブスタッツのハードルが非常に低いと考えているからです。

ボンドロウソバがサーブを強化すると言っても、何もバーティや大坂なおみレベルのサービス力を習得しろと言っているわけではありません。

なんせボンドロウソバには最強クラスのリターン力があるのですから最低でもハレプ超え、欲を言えばケニン&アンドレスク級のサービスゲーム獲得率73~4%を達成すればトップ10選手となるのは難しくないと考えています。

 

全豪のサーブの速度では1stが150km前半、2ndが125km前後ととなっており、これだけ見てもセカンドの速度が抑えすぎに感じますし、体格を考えれば1stももう少し速度が出る気がします。

左手首の怪我の影響もまだ残っているでしょうし、今後どうサーブスタッツを変化させていくのか、それ次第では女子テニス界を牛耳るような存在になってもおかしくない、そんな期待をしたくもなる驚異的なリターンスタッツを誇る20才のサウスポー、ボンドルソバ!

 

最後にボンドルソバのドロップ集という超マニアックな動画を載せておきます。

マッチポイントでドロップ決めきるのは個性的!

www.youtube.com