WTA 2020シーズン序盤におけるトレンド分析(2ndset編)
引き続き、WTAのトレンドについて分析したいと思います。
今回は2ndセット編。
分析対象や手法は前回と同様に全豪までのデータをロジット分析で行いました。
tennisandlespen.hatenablog.com
分析はstataというソフトを用いて行ったのですが、その結果はこのようになります。
Probit regression, reporting marginal effects Number of obs = 247
LR chi2(4) = 312.78
Prob > chi2 = 0.0000
Log likelihood = -14.814821 Pseudo R2 = 0.9135
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nd | dF/dx Std. Err. z P>|z| x-bar [ 95% C.I. ]
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ndfssa | -.0467022 .0174898 -2.67 0.008 .002429 -.080982 -.012423
ndfspsa | -.1609177 .0472533 -3.40 0.001 .106478 -.253532 -.068303
ndsspsa | -.0580335 .0156129 -3.71 0.000 -.031984 -.088634 -.027433
stswsa | -.1391782 .0509989 -2.72 0.006 .04251 -.239134 -.039222
---------+--------------------------------------------------------------------
obs. P | .4979757
pred. P | .4786717 (at x-bar)
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z and P>|z| correspond to the test of the underlying coefficient being 0
.
これをグラフで整理すると、
こんな感じです。
このグラフからは、2ndセットの取得に強く影響することは、
①その試合での2ndセット中に、相手よりも髙い1stサーブポイント獲得率を残すこと
②昨シーズンの1stサーブポイント獲得率が相手よりも高いこと
であると読み取れます。
では、この結果が実際の試合においてどういう形で影響しているかを考察していきましょう。
①について
ここでは、2ndサーブポイント獲得率との比較を考えたいと思います。
分析結果からは、1stサーブでのポイント獲得率で相手を1上回る方が、2ndサーブでのポイント獲得率で相手を1上回るよりも、セット獲得率に約3倍多く影響しているといえます。
これは同じ1ポイントでも、セット獲得への影響度が異なることを伺わせます。
つまり、「数字上は同じ1ポイントでも、試合に与える影響が異なる」という可能性を導くことができます。
ポイントの取り方にも良い・悪いがあるという見方ができるかもしれません。
②について
昨シーズンの1stサーブポイント獲得率が今年の試合の第2セットに影響があるというのは、少し関係の遠さを感じます。
これを頑張ってつなげて仮説を立ててみましょう。
まず、昨シーズンの1srサーブポイント獲得率が高いということは、
「その選手がサーブから組み立てる得点パターンを持っている」
と言えるのではないでしょうか。
昨シーズン全体の数値ということで、一試合二試合の話ではないので、それだけ安定して数値が高いということは、プレーヤーの中でもある程度1stサーブからポイントの取れるパターンが確立されていると考えたほうが自然だと考えられます。
では、それが2ndsetにおいて影響するのはなぜでしょうか。
仮説としては、サーブから始まるポイント獲得パターンのうち、当日に効果的なものが絞れてくるのが2ndセットなのだ、ということが考えられます。
自分の中にある得点パターンも、当日のサーブの調子、相手の反応、気候、など様々な要因から、どれが今日有効なのか、そうでないかを選別する必要があります。
その選別ができてくるのが2ndセットであると考えることは、そこまで不自然ではないのかなと思います。
と考えれば、昨シーズン、つまり過去の1stサーブポイント獲得率が現在もしくは未来の試合に対して影響するということが説明できるのではないでしょうか。
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以上、簡単な分析でしたが、2ndセットについての考察をしてみました。
シーズン序盤の限られたデータの分析なのであくまでも「トレンド」ですが、現在のWTAでは1stサーブが重要になっていると言えるように思います。
個人的には、これを受けて今後は2ndセットに各選手がどのようなサーブチョイスをしてポイントを獲得しているのか、また、それはゲーム序盤からどう変化しているのかを注目して見てみようと思いました。